はじめに
近年、日本でもシーシャ（水たばこ）が広まり、専門店やバーが急増しています。
しかし、取り扱われるフレーバーのほとんどは海外メーカー製であり、国産のシーシャフレーバーはごく少数(現状ノンニコチンのみ可能)にとどまります。
これは「国内市場が小さいから」という理由ではなく、日本特有の法規制と流通の仕組みが大きく関係しているのです。
本記事では、シーシャカフェやバーのオーナー／スタッフの皆様が知っておくべき背景や選択肢をわかりやすく整理します。
シーシャフレーバーとは
シーシャ用のフレーバーは、刻んだたばこ葉に糖蜜や香料を混ぜた半ペースト状の“水たばこ用たばこ”が一般的です。
特徴としては：
・1〜2時間程度の長い喫煙時間が楽しめる
・紙巻きたばこより水分量が多い
・炭で温めると甘く香り高い煙が出る
・フルーツ・花・スパイスなど香りが多彩
【国内製造がない理由 – 法規制とJTの独占】
1. たばこ事業法による製造独占
シーシャフレーバーにニコチン入りの葉たばこを使用する場合、日本の「たばこ事業法」の規制を受けます。
財務局理財課によると：
- 葉たばこはJT（日本たばこ産業）が製造を独占しており、新規参入は不可
- JTは国内葉たばこの全量買取義務を負っているため、一般企業は原料を入手できない
- ニコチン入りの葉たばこを海外から輸入しても、規制対象となり国内製造は認められない
つまり、国産のニコチン入りシーシャフレーバーは法的にほぼ不可能。製造するなら「JTに依頼する」か「国外で生産して輸入する」しか方法がありません。
2. 登録と流通のハードル
シーシャフレーバーはたばこと同様に、銘柄ごとに財務省へ登録し、定価の認可を受ける必要があります。
- 登録されていない銘柄は国内で流通不可
- 国内製造がないため、JTからの直接販売は行われず、卸売業者を通じて海外製フレーバーを仕入れるのが基本
こうした独占構造と煩雑な手続き、高税率が大きな参入障壁となっています。
国産フレーバーとして存在するもの – ハーブ系・ノンニコチン製品
「国産フレーバーが皆無」というわけではありません。
葉たばこを使わず、茶葉やハーブを糖蜜に浸した“ノンニコチン／ノンタール”製品は、JTの独占対象外。
いくつかのブランドが登場し、安心・安全を重視する店舗に採用されています。
Chillax（島根県出雲）
- シーシャサロン併設の国産フレーバー製造
- 出雲産の茶葉や果実を使用
- 「安心・安全なフレーバーを自分たちで作る」という発想から開発
- ノンニコチン・ノンタールで、原料仕入れから手作り
Japonesque（ESTARK）
- 2021年、クラウドファンディングで登場
- 日本産の茶葉を使用し、「日本の情景を香りで描く」がコンセプト
- 健康志向や“日本らしさ”を求める顧客層に人気
AHIRU SHISHA（東京発）
- 国産シーシャフレーバーブランド
- 製造から発送まで全て日本国内
- ニコチン・タールゼロで非喫煙者も楽しめる
- コーラミント・ピーチ・文旦・ふじアップル・シナモンなど多彩なラインナップ
- 50g 2,200円（税込）から購入可能
流通経路と営業許可について
シーシャバーやカフェでフレーバーを扱う場合は、以下を遵守しましょう。
- 登録済みフレーバーを仕入れる
- 財務省登録のない銘柄は違法販売の可能性
- 個人輸入は避け、輸入代行や卸業者経由で仕入れる
- 小売販売許可の取得
- シーシャはたばこと同じ扱い
- 「製造たばこ小売販売業」の許可が必須
- シーシャバーは飲食店営業許可＋喫煙目的店の届け出が必要
- 未成年への提供禁止
- ノンニコチンフレーバーも「たばこ代用品」とみなされる
- 20歳未満への提供は不可 → 年齢確認を徹底
オーナー・スタッフへのアドバイス
輸入ブランドの品質管理
中東・米国・ロシア産が主流。輸送・保管環境に注意し、信頼できる卸業者から仕入れることが重要。
国産ハーブフレーバーの活用
健康志向やカフェ客向けに、ノンニコチンの国産ブランドを導入するのも一手。
自社開発は慎重に
ニコチン入りは法的に不可。茶葉やハーブなら可能性はあるが、食品衛生法や製造環境の基準が厳しいため、専門家に相談を。
まとめ
日本で国産シーシャフレーバーメーカーが成立しない最大の理由は：
- JTの製造独占
- 登録手続き・原料調達のハードル
このため、日本のシーシャカフェやバーは海外製フレーバーを輸入業者経由で仕入れるのが一般的です。
一方で、ノンニコチンの国産ブランド（Chillax、Japonesque、AHIRU SHISHAなど）は登場しており、健康志向や“日本らしさ”を求める顧客に人気が高まっています。
今後は、合法的で安全なフレーバーの選定と適切な営業許可がますます重要になるでしょう。
📩 仕入れ・導入相談は Shisha Amigo へお気軽にご相談ください。
