中国のサプライヤー(1688.com・Alibaba.com・工場)から仕入れる際、意外と見落とされがちなのが「代金の決済・送金方法」です。
送料や検品と違い、支払いは一度間違えると資金そのものを失うリスクがあります。
本記事では、主要な支払手段の比較、前払いリスクと詐欺の回避、初回取引の条件交渉、送金の実務までを、公的機関・公式情報をもとに整理します。
※本記事は2026年時点の一般的な整理です。手数料・日数・規制は金融機関や制度改定で変わるため、実際の取引前に各社・各行の最新情報をご確認ください。
まず全体像|「前払い一括」が一番危ない
海外取引の基本構造として、前払い(送金ベース)では輸入者がリスクを負います。
日本貿易振興機構(JETRO)も、前払いは「輸入者が、確実に商品を入手できるかどうかのリスクを負う」と説明しています。
送金後に商品が届かない・品質不良・相手の倒産といった場合、支払った代金の回収は極めて困難です。
だからこそ「どの手段で・どの条件で払うか」の設計が重要になります。
主要な支払手段の比較

| 支払手段 | 着金の目安 | コスト感 | 前払いリスク | 向く場面 |
| 銀行送金(T/T) | 1〜5営業日 | 送金手数料+中間銀行手数料+為替マージン | 高(回収困難) | 取引実績のある相手・残金決済 |
| Alibaba Trade Assurance | プラットフォーム規定 | サプライヤー側に手数料 | 低〜中(条件付き保護) | Alibaba.com上の初回・不安な取引 |
| 海外送金サービス(Wise/PingPong 等) | 即日〜数日 | 銀行送金より低コストな場合あり(各社) | 高(送金自体は前払い) | 少額・コスト重視の送金 |
| クレジットカード | 即時 | 決済手数料(数%程度・各社) | 中(チャージバック余地) | プラットフォーム上の少額決済 |
| Alipay/WeChat Pay | 即時 | — | — | 主に中国国内向け。B2B貿易決済には不向き |
数値・手数料は各社・各行により異なる目安です。取引前に最新の条件をご確認ください。
銀行送金(T/T)は最も一般的ですが、送金してしまうと返金・回収が難しく、前払い一括は避けたい手段です。
Alibaba Trade Assuranceは、Alibaba.comが提供する取引保護で、プラットフォーム上の所定の決済手段(クレジットカード等)で支払った取引に適用されます。ただし対象・条件は公式の要領で必ず確認し、プラットフォーム外での直接送金は保護の対象外になる点に注意してください。
Alipay・WeChat Payは主に中国国内向けの決済インフラで、B2Bの貿易決済には一般に不向きとされます(貿易上の証憑が残りにくいため)。
海外送金サービス(Wise・PingPong等)は銀行送金より低コストになる場合がありますが、送金そのものは前払いである点は変わりません。
前払いリスクと詐欺の回避

JETROは、詐欺目的の場合「一度送金するとその後も税金や弁護士費用等、様々な名目で追加でお金を要求される場合がある」と注意を促しています。
前払いした資金の回収は困難なため、次のようなリスク分散が現実的です。
- 少額テスト発注から始め、品質と対応を確認してから数量を増やす。
- 分割払いにする(例:発注時に一部の前金、出荷書類の確認後に残金)。前払いを一点集中させない。
- 第三者検品と組み合わせ、出荷前に品質を確認してから残金を支払う。
- 高額・重要取引では信用状(L/C)も選択肢。JETROによれば、L/Cは銀行の支払確約により書類と商品を一体管理し、双方のリスクを軽減する仕組みです。
- どうしても前払いを求められる場合、輸出者に前受金返還保証状(リファンドメント・ボンド)を要求する方法があります(この場合、手続と費用は輸出者側の負担になります)。
初回取引の支払条件を交渉する
支払条件は交渉の対象です。リスク分散の一例として、「発注時に一部を前金、残りは出荷(船積書類=B/Lのコピー確認)後に支払う」といった分割は、双方にとって合理的な条件になり得ます。
前金の比率やデポジットは商材・数量・関係性で変わるため、初回は前金比率を抑え、取引実績に応じて条件を見直していくのが安全です。
量産前のサンプル確認もあわせて設計しましょう。
送金の実務と規制(外為法・中国側)
日本から海外へ送金する際は、外国為替及び外国貿易法(外為法)等に基づき、金融機関から本人確認・送金目的・原資の確認を求められます。
貿易代金の送金では、インボイスやB/Lなどの貿易書類の提示を求められることがあり、第三者(他人・他社)のための送金は取り扱えないのが一般的です。
中国側では、外貨管理制度上、貿易代金のような経常取引は原則自由化されている一方、資本取引は原則として許可制とされています(JETRO)。
送金額とインボイス金額の整合が求められるなど、実務上の確認事項がある点を押さえておきましょう。
💬 中国輸入の決済・送金に関するよくある質問
- Q中国のサプライヤーへの支払いで一番安全な方法は?
- A
唯一の正解はありません。初回はAlibaba等プラットフォームの取引保護を使う、少額テスト+分割払い(発注時に一部前金・出荷後に残金)でリスクを分散する、高額はL/Cも検討する、といった組み合わせが現実的です。銀行送金(T/T)は回収が難しいため、前払い一括は避けるのが基本です。
- QTrade Assuranceを使えば必ず返金されますか?
- A
万能ではありません。適用はAlibaba.com上の所定の決済手段で支払った取引に限られ、対象・条件は公式の要領で確認が必要です。プラットフォーム外での直接送金は保護の対象外になります。
- QAlipayやWeChat Payで支払ってもよいですか?
- A
主に中国国内向けの決済インフラで、B2Bの貿易決済には一般に不向きとされます(貿易上の証憑が残りにくいため)。銀行送金やプラットフォーム決済を基本に検討してください。
- Q海外送金で銀行から書類を求められるのはなぜ?
- A
外為法等に基づく確認のためです。インボイスやB/Lなどの貿易書類、送金目的・原資の確認を求められることがあります。第三者のための送金は取り扱えないのが一般的です。
まとめ
中国輸入の支払いは、「前払い一括を避け、少額テスト・分割・第三者検品・(必要に応じて)L/Cでリスクを分散する」のが基本です。
手段ごとの特性と、外為法・中国側規制の実務を押さえておけば、資金を失うリスクは大きく下げられます。
仕入れの支払い設計や輸入代行のご相談は、お気軽に当社まで。
