低コストで大量生産できる中国は、輸入業者にとって大きな魅力です。

しかし「安さ」に目を奪われると、品質・納期・通関・為替リスクなど、見えにくい落とし穴に直面することも。

本記事では、シーシャ業界で実際に起きた事例を交えながら、中国から輸入する際に注意すべき5つのポイントを解説します。

1. 金型やデザインのコピーリスク

中国の一部工場では、依頼したデザインや金型が他社製品に流用されるケースが少なくありません

しかも「偶然似ただけ」「下請けが勝手に流した」といった言い訳で隠されることも。

  • 事例:日本向けにオリジナルロゴ入りマウスピースを発注したが、同じデザインが別ブランド品として市場に出回った。

👉 対策

  • NDA(秘密保持契約)を結ぶ際に、第三者供与禁止や違約金条項を明記する。
  • 小口・単発発注は避ける。
  • アリババ・淘宝などでコピー品が出回っていないか定期チェックする。

2. 旧正月などでの納期遅延

中国の工場は旧正月(春節)や国慶節などの大型連休で長期休業します。

休業直前の発注は生産ラインが混雑し、想定以上に納期が延びることもしばしば。

  • 事例:2月の展示会に合わせて発注した新型ボウルが、旧正月に重なり1か月以上の遅延。

👉 対策

  • 年間カレンダーを確認し、繁忙期を避けて発注する。
  • 納期は常に1.5〜2倍の余裕を持たせる。

3. 通関時のたばこ関連規制チェック

シーシャ関連商品は、税関において「たばこ関連用品」として確認されます。特に フレーバー(たばこ葉) は「製造たばこ」に分類され、厳格な規制の対象です。

事例
シーシャフレーバーは「製造たばこ」とみなされ、輸入販売を行う場合は 財務省への価格認可申請 が必要となります。なお、個人使用の範囲内であれば申請不要です。

一方で、炭や機材(パイプ、ボウル、マウスピース等) は「関連用品」として輸入可能であり、たばこ税法上の認可は求められません。

👉 対策

  • フレーバー/炭/機材ごとに正しい HSコードを確認 する。
  • 通関業者と事前に打ち合わせを行い、必要な認可や書類を把握しておく。

4. 為替リスク

人民元や米ドル建てで取引する場合、為替の変動はそのままコストに直結します。

  • 事例:円安で商品の仕入れ価格が20%上昇し、販売価格を引き上げざるを得なかった。

👉 対策

  • 可能なら円建て決済を交渉。
  • 為替予約を活用し、変動リスクを分散。

5. 信頼できる工場選び

問題はコストの安さではなく、品質基準そのものの差です。

中国工場では「使えれば問題なし」と判断される品質でも、日本市場では「不良」とみなされる場合があります。

  • 事例:浙江省の工場で製造したマウスピースは、現地では「問題なし」とされたものの、日本側ではバリや仕上げ不良などの品質面で指摘を受け、納品後に追加対応が必要となった。

👉 対策

  • 日本や欧米向け輸出実績を持つ工場を優先。
  • 第三者検品サービスを導入し、日本基準でチェック。
  • 契約前に工場視察や基準書の提示を行う。

日本と中国の品質基準の違い(比較表)

項目日本市場での基準中国工場での一般基準ずれが起きやすいポイント
衛生管理食品工場並みの清潔度や殺菌処理を期待。異物混入ゼロ基準。「見た目に汚れていなければ問題なし」。滅菌処理を行うことはまずないと考えられる。マウスピース・ホースなど直接口に触れる部品。
寸法精度ミリ単位での均一性を要求。規格外は不良品扱い。使用に差支えなければ良品と判断。個体差は許容されやすい。ボウル・ジョイント径など、密閉性に直結。
素材の安全性耐熱・耐久・食品接触安全の証明(RoHS、FDA基準など)を重視。規制対象外の素材でも「使えるならOK」とされがち。炭受け皿、シリコンホース、プラスチック部材。
包装品質商品保護とデザイン性を重視。破損防止の厳重包装。コスト優先。簡易包装で破損リスクが高い。ガラスベースや陶器ボウル。
検査体制出荷前検品を標準とし、不良品率は数%未満を要求。抜き取り検査が中心。不良率5〜10%程度は想定内。ロット全体の品質安定性。

まとめ

中国からの輸入は魅力的ですが、

  1. コピーリスク
  2. 納期遅延
  3. 通関規制
  4. 為替変動
  5. 品質基準の違い

といった注意点を押さえることが欠かせません。

特にシーシャ製品は「嗜好品×雑貨」のグレーゾーンに位置するため、事前のリスク把握と対策が成功の鍵となります。

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