1. 基本となる法制度と区分

シーシャバー(水タバコを提供する飲食店)を東京都で開業する際には、複数の法律・条例を押さえる必要があります。

特に「受動喫煙防止条例」「たばこ事業法」「食品衛生法」「消防法」「警察手続き」の5本柱を整理しておきましょう。

改正健康増進法・東京都受動喫煙防止条例

  • 2020年4月に全面施行。
  • 原則として飲食店内は禁煙。ただし 「喫煙目的施設」または「喫煙専用室設置型飲食店」 に限り例外として喫煙を認められます。
  • 技術的要件:
    • 出入口の風速0.2m/s以上
    • 壁・天井で区画分離
    • 屋外への排気
    • 標識掲示と20歳未満立入禁止

👉 シーシャを提供するなら 「喫煙目的施設」 として扱うのが一般的です。

飲食店営業許可(食品衛生法)

  • シーシャだけでなく飲料・軽食を提供するなら必須。
  • 所轄の保健所に申請し、厨房・手洗い・水回りなど衛生基準を満たす必要があります。
  • 東京都では食品衛生責任者の資格取得(講習:1日/費用12,000円)が必要。

製造たばこ小売販売業許可(たばこ事業法)

  • シーシャフレーバーは「製造たばこ」に分類されるため、客に提供するには 財務局経由でJTに申請 が必要。
  • 登録免許税:15,000円
  • 喫煙目的施設の認定には「たばこの対面販売」が条件になる場合もあります。
  • 製造たばこ小売販売業許可の取得は非常に厳しい要件があるため、「製造たばこ小売販売業の出張販売許可」で対応できるケースがあります。

深夜酒類提供飲食店営業の届出(警視庁/公安委員会)

  • 0時〜6時に酒類を提供するなら必須。
  • 書類:届出書、営業方法書、平面図・付帯設備図、住民票、契約書写しなど。
  • 酒を出さない or 深夜営業をしない場合は不要。

消防法関連の手続き

  • 「防火対象物使用開始届出」「防火管理者選任」「消防計画書」の提出が必要。
  • 席数30名以上なら防火管理者の選任が必須。
  • 炭を扱うため火気設備の安全管理が重要で、CO警報器や消火器設置も実務上必須。

2. 実際に必要となる書類(東京都の場合)

所管機関主な書類注意点
保健所営業許可申請書、施設平面図、給排水設備図、食品衛生責任者証など換気・排煙設備は特に審査されやすい
保健所/健康局喫煙室の構造設計図、換気仕様書、標識掲示計画技術基準(気流0.2m/s以上等)を満たす証明が必要
警察署深夜酒類提供営業届出、営業方法書、平面図・付帯設備図騒音・照明の基準もチェック対象
消防署防火対象物使用開始届、防火管理者届出、消防計画書火災予防措置・避難経路の確保が重要

3. 注意点と実務上のポイント

  • 「喫煙目的施設」と「喫煙可能室設置型飲食店」は違う
    → 主食を出す飲食店形態だと「飲食がメイン」と見なされ、喫煙目的施設にならない可能性あり。開業前に必ず所轄保健所に相談。
  • 区市町村ごとの運用差
    → 八王子など多摩地域の保健所では、都心部と比べて図面チェックや煙対策の指導が異なる場合あり。必ず管轄保健所に事前確認
  • 制度改正リスク
    → 健康増進法やたばこ事業法は今後も改正の可能性あり。東京都の健康局・警視庁・財務局の公式サイトを常に確認すること。

✅ まとめ

東京都でシーシャバーを開業するには、次の許可・届出を押さえておく必要があります:

  1. 喫煙目的施設の要件クリア(受動喫煙防止条例)
  2. 飲食店営業許可(食品衛生法)
  3. 製造たばこ小売販売業許可(必要に応じて出張販売許可)
  4. 深夜酒類提供飲食店営業の届出(酒+深夜営業する場合)
  5. 消防法関連手続き(防火管理・火気安全対策)

👉 特に「喫煙目的施設」として認められるかどうかが最大のハードルです。換気・排気・標識をきちんと設計し、所轄保健所・警察・消防署に必ず事前相談を行いましょう。

👉 仕入れや導入相談は Shisha Amigo