この記事の狙い(要約)

開業コストは「物件取得+内装(換気・排煙)+機材+運転資金」で決まる

機材の実勢レンジは:本体(パイプ)=入門2〜3万円/中位3〜5万円/高級5〜10万円

換気・排煙は後回しNG:内装はスケルトンで坪30〜60万円、居抜きで坪20〜35万円が最新の目安。

法令:受動喫煙対策の技術基準(喫煙室の開口部で0.2m/s以上の気流確保)と表示義務/深夜酒類提供の届出は要確認。

資金調達:日本政策金融公庫の創業(新規開業・スタートアップ支援資金)は無担保・長期返済可。

1.全体像:初期費用の考え方

物件取得費:賃料×敷金・保証金+礼金・仲介(立地依存)

内装・設備:世界観+換気/排煙の設計がキモ。スケルトン=坪30〜60万/居抜き=坪20〜35万が相場感。

機材・初期在庫:本体・ボウル・HMD・炭・電熱器・消耗品

運転資金:固定費(家賃・人件費・光熱・広告)3〜6か月分を別枠化

初期費用の考え方

2.主要コストの内訳

2-1 物件取得(固定費系)

  • 保証金/敷金は賃料の数か月〜、加えて礼金・仲介・保証会社費用など
  • 立地・階数・ダクト経路の取りやすさで後工程(換気コスト)も変わる

2-2 内装・設備(投資系)

  • 換気/排煙・給気・ダクトは喫煙用途の最重要投資。後追い改修は高額化しやすい
  • バー内装の最新相場:スケルトン30〜60万/坪、居抜き20〜35万/坪

2-3 運転資金

  • オープン初期の変動に備え、最低3〜6か月分の固定費をプール
  • 融資の据置期間で立ち上がりのキャッシュ圧を吸収する設計が定石。
シーシャ各種機材

3.機材の最新相場と“外さない”選び方(2025年8月)

3-1 本体(パイプ)価格帯

  • 入門2〜3万円台
  • 中位3〜5万円
  • 高級5〜10万円
    (国内ECの掲載価格レンジと店舗実務の体感を統合。ブランド・素材・付属の有無で前後)

3-2 ボウル(味の再現性を握る“要”)

  • 普及帯(素焼き・エジ系)¥1,500〜¥3,000前後の実勢あり。
  • Oblako:モデルにより¥4,620の掲載例。
  • Alpaca:国内専門店で¥7,000帯の実売。

3-3 HMD(ヒートマネジメント)

  • Kaloud(純正):国内正規で約¥9,500。耐久・再現性が高く、基準器として推奨。
  • 互換・廉価帯:¥2,000前後〜の流通例(ECモール)。価格は安いが個体差・耐久は“価格なり”。

3-4 炭・熱源

  • ココナッツ炭1kg=約¥1,000〜¥1,500相場の紹介・実売例が確認できる(銘柄で幅あり/10kg箱商品も一般的)。
  • 電気バーナー(1000W級)¥3,990の掲載例(一般EC)。業務利用は耐久チェック必須。

3-5 最小構成の例(12席・回転重視)

  • 本体12台(中位中心)/ボウル多種×席回転分(普及帯+Oblako/Alpacaをブレンド)
  • HMDは純正を基準器+互換で補完/炭は10kg箱でストック最適化
  • 使い捨てマウスピースは十分な在庫を常備
シーシャ物件の空調設備

4.法令・許可

受動喫煙対策(健康増進法):喫煙室の開口部で室内方向へ0.2m/s以上の気流、標識掲示などの技術・運用要件を確認。

・深夜酒類提供0〜6時に酒類中心で提供する場合は所轄警察へ届出(様式・記載例あり)。

・酒類店内提供は免許不要。持ち帰り・通販などの販売は免許要(国税庁Q&A)。

・飲食・消防:地域保健所の飲食店営業許可/所轄消防での設備・図面確認は計画初期に

資金調達とキャッシュ計画

5.資金調達とキャッシュ計画

日本政策金融公庫(新規開業・スタートアップ支援資金)

  • 原則無担保・無保証
  • 利率0.65%引下げの優遇
  • 設備20年/運転10年(据置可)の長期返済枠(制度ページ参照)。

自治体補助(空き店舗活用等)/一部リース/クラファンはPR効果と現金圧縮を両立

6.コスト削減の優先順位

1.良い居抜き+ピンポイント改修(換気・電気容量・給排水を“先に”確定)

2.中古什器/リースの活用(音響・家具は相性良)

3.機材は中位×少数精鋭/ボウル&HMDで再現性確保

4.消耗品の単価管理(炭・ガスケット・ブラシの破損率を月次で見える化)

7.開業準備 30日アクションプラン

シーシャカフェを開業するにあたり、1か月で取り組むべき準備を「週ごと」に整理しました。

実務に必要な流れと、チェックリストをまとめてあります。


Week 1:物件と法的要件の確認

  • 想定する席数・回転数を前提に、必要な換気量(風量)を概算
  • 保健所・消防署・警察署など所轄機関へ事前にヒアリングし、許可条件や規制要件を確認

Week 2:物件選定と内装見積り

  • 候補となる物件を2〜3件現地査定  (特にダクト経路や電気容量などを重点確認)
  • 同一条件で内装業者3社に見積依頼し、条件を揃えて比較

Week 3:機材リスト確定と仕入れ準備

  • 機材リストを確定
    • 本体:中位モデルを基準
    • ボウル:普及モデル+Oblako/Alpaca
    • HMD(ヒートマネジメントデバイス):純正基準+互換品を補完
  • 卸口座を開設し、在庫状況を確認

Week 4:資金計画と安全備品の準備

・CO警報器・消火器・喫煙標識・年齢確認体制

公庫へ事業計画を提出(資金使途・据置を提示)

安全関連備品を先行手配

8.チェックリスト(抜け漏れ防止)

内装:換気・給気・遮音・照明・席レイアウト

提供系:本体/ホース(洗浄可)/ボウル/HMD/トング/耐熱マット

消耗品:ココナッツ炭/電気バーナー/ディスポマウスピース/ガスケット

衛生管理:洗浄ブラシ/除菌剤/乾燥ラック

安全・法令:CO警報器/消火器/喫煙標識/ID確認体制

9.まとめ

初期費用は「物件取得・内装(換気/排煙)・機材・運転資金」で構成。 内装はスケルトンよりも良質な居抜き活用で圧縮、ただし換気・排煙だけは後回しにしないのが鉄則。

機材の実勢は本体が入門2〜3万円/中位3〜5万円/高級5〜10万円。 回転と味の再現性はボウルとHMDの設計が握るため、ここへの投資は惜しまない。

運転資金は固定費の3〜6か月分(理想は半年〜1年)を別枠で確保。 日本政策金融公庫や自治体支援、リースを組み合わせてキャッシュを厚く。

法令は計画初期に確認。 健康増進法(標識・喫煙室要件)、所轄警察の深夜届出、保健所の飲食許可、消防の届出を“設計前”にすり合わせる。

コスト削減の順序は「良い居抜き→中古/リース→DIY装飾」。削らないのは「換気・排煙」「安全備品」「基準器となるHMD」。

数字を通すコツは早い段階の複数見積りと前提統一。 席数・回転・必要風量を先に決め、同条件で施工/機材を比較する。

👉 仕入れや導入相談は Shisha Amigo