シーシャ(フーカー)の世界では、フレーバーの開発・製造・流通に携わる国ごとに特徴や慣習が異なります。
当社が扱う商品は世界中のサプライヤーとの関係から成り立っており、各国の文化背景を理解することは商品企画や販促のヒントになります。
本記事ではアラブ首長国連邦(UAE)、トルコ、米国、インドの代表的なシーシャフレーバー・メーカーの特徴や現地の習慣を現地サイトや業界メディアから調査しました。
目次
🇦🇪UAE – 高品質志向と洗練されたカフェ文化
アルファヘル(Al Fakher)
- 創業と規模:UAEを代表するブランド「アルファヘル」は1999年に設立され、ヨルダン企業のエクバル投資が親会社です。現在は150か国以上に展開し、輸出専用と国内向けの2つの製造拠点を持っています。スタンダード、ゴールド、スペシャルエディションなど100種類以上のフレーバーを展開し、べイプ市場にも進出しています。
- 品質管理:サプライチェーンのリスク管理や品質の高さが世界的評価を支えています。
UAEのシーシャ文化と慣習
- 社会的な役割:UAEではシーシャは数世紀にわたり親しまれてきた中東文化の一部で、友人と会う場・娯楽としてカフェが発展しています。暑い気候でリラックスするために集まるのが定番で、ホームパーティーでは専属スタッフを呼ぶこともあります。
- 注意点:現地メディアでは健康リスクや法律を理解した上で楽しむことが重要だと強調されています。
🇹🇷トルコ – 伝統とモダンが交差する「ナルギレ」文化
トルコのブランドと特徴
- アダリヤ(Adalya):創業者は1963年生まれのたばこ技術者で、カフェ運営の経験から自社ブランドを立ち上げました。同社は以下の4ブランドを展開しています:
- Adalya – フルーツ主体でプレミアムなブレンド。
- Aqua Mentha – 「アクア・クール」という爽やかさが特徴。
- Adalya Black – ダークたばこを使用した力強い味わい。
- Blue Horse – バラエティ豊かなフレーバーライン。
トルコのシーシャ文化
- 名称と語源:トルコではシーシャを「ナルギレ」と呼び、ペルシア語やサンスクリット語に由来します。語源はココナッツを意味する「narikela」で、初期の器具がココナッツ殻を利用したことに由来します。
- 水タバコの特徴:トルコ産たばこは湿度が高く(30%以上)、モラセス(サトウキビの糖蜜)を使用して湿度を保つため煙の質が高いと紹介されています。フレーバーはメロン、イチゴ、チョコレートなど多彩で、甘さや香りが際立ちます。
- 喫煙方法の違い:ドイツなどでは法規制によりアルミホイルを使用しますが、トルコの伝統的なナリギレはアルミホイルを使用せず、金属の網を使って炭とたばこを直接近づけることで濃い風味を出します。
- 文化的慣習:トルコのナルギレカフェでは長時間ゆっくりと過ごし、バラやレモンなど繊細な味を楽しむのが定番です。ホースは時計回りに回し、他人へ煙を直接吹きかけないなど、礼儀作法も重視されます。
🇮🇳インド – スパイス文化が生み出す独自のフレーバー
アフザル(Afzal)とSoex
- 歴史:インドのSoex社は2002年からニコチンフリーのシーシャたばこを生産し、翌年にAfzalブランドを設立しました。2012年にはCIS諸国への輸出を開始し、改良を重ねて高品質ブランドとして知られるようになりました。
- 特徴:Afzalは自社農園で栽培した高品質なインド産たばこ葉を使用し、スパイスやシロップを組み合わせた独自ブレンドで知られます。シロップの含有量が多く混ぜやすいこと、熱に強く細かい刻みで煙が濃いことが特長で、60種類以上のフレーバーを展開しています。
- 味わいと用途:Afzalはフマリやアダリヤよりやや強めですが、他ブランドとブレンドしやすく、スパイスやハーブ系のフレーバーが豊富です。
インドのシーシャ文化
- 起源と用語:「フーカー(hookah)」はヒンディー語やウルドゥー語の「フッカ(huqqa)」に由来し、シーシャの語源の一つです。
- 習慣:農村部では結婚式や祭りでフーカーを回し吸いする習慣があり、ココナッツ殻や粘土のボウルを使った素朴なスタイルが残っています。インドのフレーバーはスパイスやハーブを活かした甘く芳醇な味が特徴で、パーン・ラス(キンマ葉とスパイスのミックス)など現地独特の風味も人気です。
🇺🇸米国 – カスタマイズとトレンド志向の市場
アメリカのフレーバーメーカー
- スターバズ(Starbuzz):カリフォルニアに本社を置くStarbuzzは「Exotic」シリーズを中心に70種類以上のフレーバーを提供し、金色のタバコ葉を使用した濃厚な煙が特徴です。レモン・バナナ・ストロベリーといった単品フレーバーもあり、他ブランドと混ぜて独自ブレンドを楽しむことができます。複数サイズが用意され、厚みのある煙を求めるユーザーに人気です。
米国のシーシャ文化とトレンド
- 普及背景:アメリカのフーカー文化は中東や南アジアからの移民による影響で都市部を中心に拡大しました。フーカーラウンジは仕事帰りにリラックスし友人と過ごす場所として利用され、ウォーターメロン・ミントやローズ&カルダモンなどデザート系フレーバーが人気です。パンデミック以降は自宅での利用も増え、SNSの拡散によって若年層にも広がっています。
- 2025年の新潮流:業界サイトによると、2025年にはプレミアムな少量生産のタバコが求められ、TangiersやDarksideなど高級ブランドが人気です。ラウンジでは客がタバコの種類やニコチン濃度を選べる「カスタムボウル」が流行し、スタッフによるブレンドガイドも提供されています。
- 技術とサービス:デジタル注文やモバイル通知、炭交換タイマー、ロイヤルティアプリなどテクノロジーを活用したサービスが導入され、健康志向の高まりに合わせてニコチン表示やハーブ製品、ココナッツ炭、衛生管理を重視する動きも見られます。屋上やテラスなど屋外席の人気が高まり、ライブ音楽やフレーバーテイスティングなどイベント型のサービスが差別化要因となっています。
まとめ
各国のシーシャフレーバー・メーカーや文化の違いは、商品開発やマーケティングの際の重要なヒントとなります。
UAEのアルファヘルは品質と多彩なフレーバーで世界市場を支配し、シーシャが社交文化の一部として根付いています。
トルコは湿度が高く香り豊かなタバコと伝統的な喫煙方法が特徴で、アダリヤやアクア・メンタが市場を牽引しています。
インドのAfzalはスパイスを活かした独自の味を持ち、農村部の文化と結びついています。米国市場は移民文化を起点に発展し、スターバズなどのブランドやカスタマイズ可能なラウンジサービスが新たなトレンドを生んでいます。
各国の慣習や嗜好を理解し、商品や販促に活かしていくことが今後の事業拡大に繋がるでしょう。